●重心線は後ろに!!
今回は患者さんからよく聞くこの言葉からスタートします。
「特に何もしてないのに、やっちゃった(腰痛や寝違え)んですよね~。」
ストリートダンサーの皆さんも、
「いつもと同じ様な動きしかしてないし、深夜練続いてたわけでもないし、無理してなかったと思うんですけど・・・」
ってこと、よくありませんか?
今回はこの、身に覚えのない急な痛みについてお話しますね。
身に覚えがないのに悪い結果を引き起こしてしまうことって他にもよくありますけど(奥さんを怒らせたりとか)、
昔のことわざなどでもよくありますが、やはり原因なくして結果なしと言うことでしょうね、すべての現象は。
一般の患者さんでも、ストリートダンサーの皆さんでも、急な腰痛や寝違えなどを起こす原因はちゃんとはっきりしたものがあるのですね。
それは人類全般に言えること、
“二足歩行をすること”
です。
「は???」
と思われた方、すみません。
これからご説明してまいります。
まず、人間が人間たるゆえん、2本足で歩くことが肩こりや腰痛の原因であるみたいなことは聞いたことある方もおられるでしょう。
より具体的に言いますと、人間の骨や筋肉などは2本足で動くことにある程度の進化はしております。
しかし、ほとんどが四つ足動物と同じ様な構造ですし、それ以前に2本足で立つ机やイスなどありえないと言う、物理的法則を無視したことをやっているわけですね。
さらに四つ足動物の背骨や内臓は地面に対して平行ですから、1個1個の背骨、また一つ一つの内臓は、それぞれ等分の重力を受けております。
人間の場合、下の方にある背骨や内臓は、その上にある骨や内臓、その他の重みを受けているわけです。
重力線と同じ方向に体を立てているので、骨も筋肉も内臓も、重力により上からつぶされる様な力を受けているのです。
そんな重さを受けながら、物理的にありえない2本足で立つと言うことを維持している、それを起きている時はずっとやっているのですね。
ここで“抗重力筋”ということについてをお話しますね。
それは、重力に抵抗する働きをする筋肉たちのことです。
首から背中をおりて、腰、もも裏、ふくらはぎ、すね、太ももの前、そして腹筋の奥にあるインナーマッスル(腸腰筋など)がそれに当たります。
“腹筋が抜けている”と言うことに気付いた方がおられると思います。
そうです、腹筋は立っていること、座る、歩くことにもあまり関与しておりません。
まったくの関係ゼロというわけではないのですが、ためしにお腹の力を抜いて、ポコっとお腹が出た状態で、立つ・座る・歩く、などしてみて下さい。
できますよね!
ですから、お腹は力が抜けやすく、たるみやすく、
ぜい肉がつきやすいのです。
そうすると、どうなるか?
背中側の方ばかりに常に力が入り、お腹の力が抜けているので、重心は前にいってしまいます。
背筋や脚全体の抗重力筋をメインに力をいれっぱなしの固まった状態に、すでになっているのですね。
ここでやっと答えに到着しました。
何もしてないのに急な腰痛や寝違えに・・・・
ね!何もしてなくなかったでしょう!
と言うより、常に原因作ってたでしょう!ってことになってしまっているのです。
はい、お待たせしました!
そこで、その前に偏った重心線を後ろに戻し、
背中全体の筋肉をゆるめる簡単なエクササイズをご紹介!
それは、いとも簡単、
“後ろ向きに歩くこと”
です。
もちろん、後ろだと障害物や人にぶつかって危ないので、スタジオなど第3者が入ってこない広い場所でやることが条件になります。
それと、2人一組になって、後ろ向きに歩いている人の“目”になってあげることです。
普通に歩いている人の前に、後ろ向きに歩く人がいて、その人の背後に危険な状況がないかを前向きに歩いている人が見ていてあげるわけです。
とまあ、ちょっと実行するのにやや条件が必要ですが、これをその場で立ってやる方法を、
“上半身”、“下半身”、“全身”
と集中して行える、後ろ向き歩き以上に効果のあるエクササイズを作りましたので、次の回に動画と一緒にご紹介したいと思います。
普段は前に向かって、力を入れたり、肩や腰を振ったり、ジャンプしたり、前に屈んだり、腰をそったり、などすべての動作を前向きに行っています。
それをリラックスして後ろ向きに歩くだけで、いつもの前向きの動作のクセを取る働き、つまり重心線、動きの中心軸を後ろ側に戻して、背筋や脚全体の軸を正しい位置に戻し、ボディバランス、ボディコントロールなどをすぐに正常に戻すことができます。
私なりに大切にしているポイントを1つ申し上げますと、
“肩(首に近い部分、肩コリする辺り)の重さが、
足首のくるぶし辺りにしっかり落ちること”
です。
それを意識して歩いてみて下さい。
きっと、前向きに歩くとこの重力が落ちる正しいラインのポイントが意識しずらく、後ろ向きに歩くと、“肩とくるぶし”のつながりが意識しやすいことを感じると思います。
また、下にあります重心線の解剖図でも確認して下さい。
もう10年以上も昔のことですが、中国(北京の公園だったかな?)で、2人一組での後ろ向き歩きウォーキングが流行ったことがありました。
長いこと患った腰痛や肩こりがなくなったんだよ!とコメントする人がたくさんいたのを覚えています。
シンプルですが、とても科学的な根拠に基づいていたのですね。
それでは皆さん、今週は整った重心線で、グッドバランスなパフォーマンスを手に入れて下さい!